一般社団法人 日本建築美術工芸協会

一般社団法人 日本建築美術工芸協会

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aacaについて
会長あいさつ

 「一般社団法人 日本建築美術工芸協会」(以下、aaca)は前身の「建築美術工業会」を改称して1988年に新たに文化庁所管の「社団法人日本建築美術工芸協会」として発足しました。

 初代会長である故芦原義信氏は「設立趣意書」の中で「美しく、ゆとりある環境のまちづくりは国民的課題であり、21世紀に向けての空間造形に関係する私共にとって最大の配慮を払わねばならないことである。先ず、そのために建築に関わる建築・美術・工芸並びにその制作を支える人々が連携し、交流の場をつくり、社会のニーズに応えるよう文化と芸術性の考究と関連情報の収集と利用を促進し、さらに海外との情報交流をはかるものである。」と述べています。協会の「憲章」ではこの趣旨書に述べられている課題に向き合うための行動指針が具体的に示されており現在もゆるぎないaaca会員活動の原点となっています。
(【憲 章】http://www.aacajp.com/about/ideals.html

 会員は建築家・美術家・工芸家・ランドスケープアーキテクト、これらの方々の制作にかかわる企業や資材メーカー、街づくりや建築を生み出すデベロッパーなど広い分野から参加いただき、それぞれが連携・交流・切磋琢磨することで、お互いを高めあいながら、文化と芸術性豊かな空間創造を目指す活動を続けています。また、当協会に様々な立場の個人会員、法人会員の方々が対等に自由にオープンに参加している点で他の団体にはないとてもユニークな特徴があります。

 設立当時から続く主な活動として表彰事業のAACA賞があります。この賞は当協会の設立理念と目的に叶い、建築、美術、工芸、ランドスケープなど様々な分野が協力し、融合して創造された文化的環境と美しい芸術的景観を対象として、これらを実現させた個人、グループ、団体を毎年表彰する賞です。さらには景観・環境に関するシンポジウムの開催、様々な分野の方々をお招きしての講演会・フォーラム、様々なテーマで自由でオープンな展覧会の開催などがあり、内外への情報発信とともに会員の研鑽にも資するものとなっています。
 また、aacaでは全国各地で活発に行われている特徴ある「地域創生」・「まちづくり」の取り組みにおいて、それぞれの地域がどのように活性化し魅力的な豊かな環境を創り上げているかを取り上げ、講演会・シンポジウム開催し、その成果を書籍化し発信しています。

 次に【憲章】にも掲げられている『文化的な空間創造のための1パーセント運動』は、aacaの前身である日本建築美術工業会において、公共建物の建築においてその総費用の1%を芸術環境づくりに充てる「文化のための1%システム法制定」についての調査研究と制定に向けた運動を引き継いだものです。
 2001年に制定された「文化芸術基本法」前文では、「文化芸術は人々の創造性を育みその表現力を高めるとともに、人々のつながりや相互理解、多様性を受け入れることができる心豊かな社会を形成するものであり、世界の平和に寄与するものである」と、文化芸術を定義しています。様々な文化芸術の分野の中でも「建築・都市」はとても身近な存在であり、創造された「建築・都市」空間は長い期間存在し続けるものでもあります。つまり、その環境の持つ豊かさや内蔵する多様な可能性・能力は、人々に対し様々な形で大きな影響力のある存在なのです。
 私たちaacaの建築家・美術家・工芸家・ランドスケープアーキテクトやこれらの方々の活動を支える方々はともに力を合わせ、様々な「建築・都市」空間において「より豊かで多様な文化芸術的価値を創造し広く社会に発信」していくことが、私たちaacaの役割であると思います。
 現在aacaでは、公共の施設を新たに建設する場合に、総費用の何パーセントかを芸術的環境づくりに充てる、「パーセントフォーアート」の運動を推進しています。対象となる公共の場には、多くの人々が目的を持つ/持たないにかかわることなく訪れます。そのように芸術的環境に自然に触れることができることがとても大切なことなのです。そして、年齢の若い時から芸術的環境に触れること・体験することは、より豊かな人間性を育むことにもつながっていくものと思います。
 群馬県では2022年に「群馬パーセントフォーアート」推進条例を制定し、群馬モデルとして、具体的に県予算の中の投資的経費の0.1%をアート振興に振り向ける施策を始めました。他の数多くの自治体においても、国の「文化芸術推進基本計画」に準じた「文化推進振興条例」「文化芸術振興条例」などを制定し、文化芸術に対する施策を位置づけています。これらの施策が「パーセントフォーアート」の法制化につながっていくためにも、aacaでは「パーセントフォーアート」の取り組みを鋭意進めていきたいと考えています。すでにフランス・イタリア、アメリカ・台湾・韓国などでは「パーセントフォーアート」の施策が進められています。韓国ではさらに進んで「芸術家の地位と権利の保障に関する法律」として「芸術家福祉法」や「美術振興法」が制定され、さらに芸術家の契約を支援する「標準契約書」の整備なども取り進められています。日本においても「パーセントフォーアート」の取り組みを進めることはアーティスト支援にもつながり、ひいてはaacaが目指す「美しくゆとりある環境の街」を創造し社会に発信することにもつながっていくものと考えています。
 「発信」と共にaacaのもう一つの大きな柱は「交流」です。aacaには建築家・美術家・工芸家・ランドスケープアーキテクトや、その活動を支える方など、「空間創造」にかかわる多くの多才な個人・法人の方々が参加されています。aaca内の「交流」のみならず外部とも「交流」することで生み出される無形の価値を、それぞれの立場でさらに育て新たな価値を生み出していくことにつながっていく、このような流れができることを期待しています。

 これからも日本建築美術工芸協会は【憲章】の下、文化的な空間創造のため芸術文化の重要な担い手として活動を続けて参ります。

一般社団法人 日本建築美術工芸協会
会長 東條 隆郎