AACA賞2012 AACA賞|小布施町立図書館 まちとしょテラソ
AACA賞2012 AACA賞
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鈎型の敷地に三角形の開架エリアと矩形の閉架スペースを配し、山並みに呼応するように全体に緩やかなむくみの屋根が、穏やかな大らかな膨らみの佇まいをみせている。
それを支持する3本の柱、いや白い造形作品といった方が正しい。上部がしぼられた樹形に枝分かれし主軸の最頂部が注意深くえぐられたそれは、合理的で無駄のない燐とした「美しさ」をみせる。更には杉の直線材の集合が、柔らかいカーブを描きながら天井面となり、ふくよかな膨らみの頭上空間を生み出している。室内は桜の老木を抱き込むように、また一辺が緩やかに削がれた曲面をなしていることにより、三角形の平面を忘れさせる優雅な広がりを持っていて優しく小気味よい。中央に書架を集中させ、外周部に人々のおもいおもいに居られる場所を設けて、本との関わりをきっかけに時を過ごし、お茶を飲み弁当を食べる、音楽を聴いたり美術創作活動や展覧会も体操教室さえも行われる。
およそ人間の活動行為に関わる身体的知的欲求の全てが、緩やかにうまくコントロールされて、従来の図書館の概念から脱皮した新しい交流拠点として見事に活動し、隅々にまで小布施を愛する思いに満ちあふれている。
まろやかな栗落雁色の壁に空けられた幾つもの形は、長い歴史を大切に育み積み重ねてきた幾人もの小布施の翁達が、次世代の子ども達を優しく見守り微笑むその目が並んでいるように見えるのである。