一般社団法人 日本建築美術工芸協会

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AACA賞
AACA賞2013 奨励賞新潟市江南区文化会館
AACA賞2013 奨励賞
新潟市江南区文化会館

作 者:新居千秋

所在地:新潟県新潟市江南区茅野山3-1-14

選評
 なだらかに広がる先に大小の山並が続く自然の中に,江南区文化会館は立地している。

 隣接する既在の亀田総合体育館(アスパーク)と現状敷地とのレベル差を、全体の切土・盛土を調整して外構工事のコスト削減に努めた。そして将来計画の屋内運動場にも対応した導線計画をとり、全体をユニバーサルに構成している。

 内部においては平面的な部屋を開放し、可変することで空間を広げ、断面的には2階部分を削り、1階の部屋の一部を相互に入り込に、斜めな壁面を用いて有機的な内部空間を確保している。

 音楽・演劇のホール、図書館、郷土資料館、公民館の4つのゾーンを「十字ストリート」と名付けた通路で繋ぎ、やや狭いのが難点だがそれぞれのゾーンへの移動もスムーズになり、事務管理上も有効だろう。劇場ゾーンにおいては固定席413席を確保し音楽、演劇多機能ホールを目指し、またさまざまな地元の要素を取り入れた、造形的な工夫をこらし豊かな空間にすべく努力をしている。

 江南区文化会館は設計から施工、竣工まで4年の歳月をかけ完成した。その間カルチュラルサステナビリティ(文化的持続可能性)をとり、さまざまな年代の若者が参加するワークショップ活動を開いてきた。建築というハードワークと地元の人々の参加や繋がりがソフトウエアーとすれば、持続可能性がある文化の発信の場となるだろう。

 限られた予算と限られた面積の中に、地元の熱い思いと過大な要求を見事に詰め込んだ江南区文化会館は、人口約7万人の街で開館後1年を待たず20万人の利用がなされた。

 最後に私見だがホワイエ天井部の施工途中の写真資料は彫刻的構造の美しさが感じとれ、興味深く見た。ただ、壁面や床面はもっとプレーンなもの、あまり凝りすぎないものを見たかった。ともあれ、この文化会館は今後一つのモデルであり評価したい。
選考委員 米林雄一