一般社団法人 日本建築美術工芸協会

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AACA賞
AACA賞2013 審査総評
 第23回日本建築美術工芸協会AACA賞、第12回日本建築美術工芸協会芦原義信賞の両賞は、景観・町並み・ランドスケープから建築空間やインテリアまで、スケールを問わず建築・美術・工芸の力で人々に感動を与える美意識に支えられた、環境や空間を創り出した作品に与えられるものである。今年の応募作品は相変わらず建築が大多数を占めていたが、その内容はバリエーション豊かな力作が見られた。
 審査はAACA賞28点、芦原義信賞17点の応募作品を、AACA賞候補12点、芦原義信賞候補5点に絞り、現地審査対象とした。現地審査は2人以上の選考委員が現地に赴き、設計者や管理者から説明を受け、最終審査で現地審査の報告を担当委員が行い、全員で議論を闘わせて各受賞作品を決定した。
結果は
日本建築美術工芸協会・AACA賞1点 優秀賞2点 特別賞1点 奨励賞2点
日本建築美術工芸協会・芦原義信賞1点 優秀賞1点 奨励賞1点 となった。

 今年のAACA賞受賞作品を見ると、ジェームス邸、伊勢神宮、東京駅などな既に文化的価値を有するものの保存・修復・継承にかかわっている。それぞれの時代背景のなかで真摯に作られ、永く生き続けてきたものには、人々の心を打つ力が宿っているわけで、こうしたものを大切に継承して新しい価値を創り出していくことは大切である。
 AKASAKA-K-TOWER、翼竜のたまご、新潟市江南区文化会館は個々の状況は違うなかで、オーナー、建築家、あるいはアーティストの強い意志により新しい価値を創り出すことに成功している。芦原義信賞の日本圧着端子製造(株)、秘密のクリ園はまさに新人賞に相応しい斬新な発想で、従来の設計手法に捕らわれることなく、新しいユニークな建築を生み出している。中央区立中央小学校・中央幼稚園はオーソドックスな手堅い設計手法ではあるが、コンパクトに凝縮された斬新な学校となっている。
 ここに見られるように建築、美術、工芸のコラボレーションにより、様々な場面で文化的価値を高めていくことは可能であるわけであるが、なかなか活躍の場が広がってこないことが問題である。近年はとかく経済性が優先され、文化的価値を持つ建築づくりが難しくなっている傾向にあり、バブル時代には行き過ぎもあったとは思うが、アートに対する予算もなかなか確保出来ない状況である。
 次世代に向けて私たちの共有財産である公共空間の文化的価値を高めていくことは私達の義務であり、日本建築美術工芸協会はAACA賞を通してこうした運動の推進を目指している。
選考委員長 芦原 太郎