一般社団法人 日本建築美術工芸協会

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AACA賞
AACA賞2014 AACA賞潜水士のためのグラスハウス
AACA賞2014 AACA賞
潜水士のためのグラスハウス

作 者:中薗哲也・名和研二

所在地:広島県江田島市大柿町深江宇島戸2630-14

選評
 痛快な建築である。かつて海軍兵学校のあった広島県江田島の、夕陽の美しい浜辺にたっている。コンクリートの「積み木」が、まるで巨人が積んだかのように並べられ、ピースが大きいから普通の建築には見えない。そこに白い鉄格子の屋根が架かっている。壁は透明なガラス。不思議な光景だ。
 浜に面した半屋外のテラスは、「海の家」のようでもあり、そのままリビングルームのようでもある。すぐその脇にはガラス張りの浴室。潜水士たちは、実に開けっぴろげだ。だから痛快である。楽しい宴会の様子が目に浮かぶ。
 ピースの正体は、波打ち際のテトラポッドの打ち残しコンクリートによる派生品で、いわば残り滓。少しずつ貯まったそれらを集めて、彼ら自身が積み上げた代物だ。
 しかしそれらが見事に「逸品」になっている。
 日本「建築」「美術」「工芸」協会賞だからその三つが見事に調和した作品に贈られるとも言えるが、この「潜水士のためのグラス・ハウス」は、いわばそれらを超越した世界で生み出された作品であり、大らかなその挑戦の成果を顕彰するのも、この賞本来の伸びやかな趣旨に合致している。
選考委員 古谷誠章