AACA賞2015 優秀賞|清津倉庫美術館
AACA賞2015 優秀賞
清津倉庫美術館所在地:新潟県十日町市角間未1528番地2
選評
飯山線越後田沢と上越線越後湯沢を結ぶ353号線のほぼ中間地点に位置する計 画地は日本三大渓谷の一つに数えられる景勝地・清津峡に程近い山間の小さな 集落である。かっては元気な子供たちの声がこだました清津峡小学校も6年前に 廃校となり、人口減少と高齢化が進んでいる地域である。近年、越後妻有地域 を「大地芸術祭の里」としてアートを媒介にして地域再生を目指した「大地の 芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」を3年ごとに開催し、注目されている 地域でもある。清津倉庫美術館は越後妻有里山現代美術館(キナーレ)」の分 館としてこの小学校の体育館をリノベーションした美術館である。既存の体育 館は下部コンクリート、上部鉄骨造のごく普通の学校体育館であったが、設計 者はその構造空間を極自然に巨大アートの展示空間に創り上げている。展示ス ペースを取り巻く壁の打ち放しコンクリートと空中に浮かせたグリッド状の構 造物および既存の上部鉄骨構造空間を融合させ、展示アートを引き立たせる装 置空間として体育館を現代アートの展示空間に生まれ変わらせている。最近の 美術館建築は展示アートよりも建築の主張が強すぎる傾向にあるがこのリノベ ーションは美術館の原点とも言える展示アートを生かす空間を見事に創り上げ ている。これからのことであるが隣接する校舎、プールなど旧小学校の残され た施設がこの美術館とどのような関連施設として生かされていくのか楽しみで ある。
選考委員 岩井光男
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