一般社団法人 日本建築美術工芸協会

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AACA賞
AACA賞2015 審査総評
 AACA賞は景観・町並み・ランドスケープから建築空間やインテリアまでスケールを問わず建築・美術・工芸の力で人々に感動を与える美意識に支えられた環境や 空間を創り出した作品に与えられるものです。
 本年は56点の応募作品が寄せられ、多くの力作を見られたことを選考委員としては大変嬉しく思いました。一次審査では書類 とパネルにより選考して現地審査対象作品を15点に絞りました。現地審査では選考委員が手分けして2人以上で現地に赴き、設計者や管理者から説明を受けて行いました。最終審査は各担当選考委員による現地審査報告を踏まえた上で、全体協議により各受賞作品を決定しました。AACA賞は新人を含む全ての応募作品の中から最優秀1点とし、さらに準ずる優秀賞3点と奨励賞2点を選定しました。
 AACA賞の「竹中大工道具館新館」は展示されている大工道具と匠の技が生かされた建築空間が相俟って、建築づくり、ものづくりの本質を語りかけてくれています。日本の伝統的美意識を継承した極めて完成度の高い作品であり、正にAACA賞に相応しいものと言う事が出来ます。
 優秀賞の「ROKI Global Innovation Center ROGIC」はダイナミックな空間を創り出した建築的観点、「清津倉庫美術館」はアートによるまちづ くりの観点、「三井ガーデンホテル京都新町別邸」は町並みから造園・建築・インテリア・ 家具・アートにいたるまでのコラボレーションの観点からそれぞれ優れたものでした。
 特別賞の「大手町タワー」は経済原理で生成される現代都市に都市計画的観点から一石を投じるものであり、又「ザ・リッツ・カールトン京都」は商業主義に流されることなく質の高いアートがインテリア空間へ徹底して導入されています。これらの作品 はそれぞれ社会的に大きな影響力を持つものであることを考えて特別賞に相応しいものとしました。
 また新人賞である芦原義信賞は新人応募の中の最優秀賞として1点を選びまし た。
 芦原義信賞の「Seto」は新しい感性で、斬新な空間をさりげなく創り出し 、瀬戸内海に繋がる景観に新たな魅力を付加することに成功しています。作者の将来に更なる展開を期待して芦原義信賞を送ります。
 今後はAACA賞のプレステージを、より高めて広く社会に発信して行くことと同時に、建築・美術・工芸に関わる大勢の方々に裾野を広げてこの賞を浸透させていくことの両面を戦略的に進める事が大切だと考えます。
 この賞の趣旨に賛同頂き、来年はさらに数多い応募作品が寄せられる事を期待 しています。
選考委員長 芦原 太郎