AACA賞2016 特別賞|北菓楼札幌本館
AACA賞2016 特別賞
北菓楼札幌本館所在地:北海道札幌市中央区北1条西5丁目
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所在地:北海道札幌市中央区北1条西5丁目
今回の丁寧な復元により優れた意匠性が蘇り、近接する道庁と共に街並みを豊に彩る貴重なランドマークとなっている。近代日本が吸収しようとしたヨーロッパの近代建築の一つであるセセッション建築の持つ合理性と芸術性の調和を目指した先人の優れた感性をそのまま復元した真摯な努力と技術を評価したい。その上で、当初の志である「コミュニティに寄与する公共建築」の役割を菓子会社のショップとカフェとして再生したプログラムは民活としての意義を感じる。
保存復元した表通りの石の外装に対して、はっきりと対比する新しい内装としてのクロスヴォールト天井と細い鉄骨柱の意匠は軽快に浮遊する気持ちのよいスペースをつくり出している。その対比的な意匠については意見が分かれるかも知れないが、敢えて現代の使われる空間として人々に親しまれることこそが、内部も含め、生きたランドマークであるという視点は評価できる。白く軽やかな細い柱とクロスヴォールト天井のコンポジションは近代黎明期のパリのアンリ・ラブルーストの2つの美しい図書館を思い起こされる。
建築が人々に奉仕する藝術であることの素晴らしさを再認識させる優れた復元+新築という建築的回答であり特別賞として相応しい建築である。