AACA賞2017 AACA賞|近畿大学 ACADEMIC THEATER
AACA賞2017 AACA賞
近畿大学 ACADEMIC THEATER所在地:大阪府東大阪市小若江3-4-1
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所在地:大阪府東大阪市小若江3-4-1
このプロジェクトの魅力は、建築単体ではなく、この、低層建物群のデザインにある。ここでは、「本」「ACTの活動」「自然」の3種類の空間の繋がりがデザインされた。縦・横4本の帯を10度づつ傾けて編む形状から生まれた曲がりくねった通路は、奥に進むに連れて次々と新しい顔を見せる。とりわけ魅力的なのは、中庭に囲まれた居心地の良い「本」の空間である。大きなテーブルを囲んでたくさんの学生が各々書物を読んだり、パソコンの画面に見入っていた。天井までの図書が並ぶ閲覧スペースでは、一つ一つの「本」がアーティスティックに照明されることで、重要な知の素、情報の塊であることが示されていた。近畿大学はクロマグロの完全養殖を実現したことで知られているように、22の「ACTの活動」スペースでは、研究室のテーマ、社会の諸問題の解決につながる成果の創出への取り組みが、透明なガラスを通して外から見えるように展示されている。
隣接する「自然」溢れる中庭からは、大きく開いた空とキャンパス内の他棟の風景が垣間見える。
ここには、形を成したアートと呼ばれる物体に代わり、緑溢れる「自然」を取り込んで計画された中庭、知の集積である光を浴びた「本」、未来をより住みやすくする行動を目に見える形で示す「ACT」の展示と、それらを一体的に繋げたデザインがある。露地、禅の教えを示す掛け軸、草庵のしつらえ…この空間が、利休の目指した茶の全体芸術空間に通じていることに思い至った。