AACA賞2017 特別賞|四国八十八ヶ所ヘンロ小屋 プロジェクト
AACA賞2017 特別賞
四国八十八ヶ所ヘンロ小屋 プロジェクト所在地:四国四県 各所
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所在地:四国四県 各所
以前は各寺院や路々の農家等が好意をもってお遍路巡りの人々に軒先を貸し、休憩接待等を行う習慣が根づいていた。近年 時代の変化と共にその様な慣行が薄れ、八十八寺院間のネットワークも薄く、農家の建築様式も近代化されて軒先で接待を行う場もなくなり、お遍路の人々にとってその路々で休憩する場を探すことも困難な状況になってきた。
そんな状況とお遍路の伝統の行く末を憂えた地元出身の一人の建築家が、お遍路道の途中に休憩接待所を88ケ所設置し、お遍路道をネットワークするプロジェクトを立ち上げた。
各地域の有志を募って土地の提供者を求め、寄附や資材の提供を求め、全てをボランティアでこのプロジェクトを遂行することとなった。
土地は、畑や田んぼの中や町なかの広場や幹線道路の側わりであったり、緑深い山林の中であったり、様々な情景の中に立地している。その場所の由来や周辺の環境の中から物語性を紡ぎだして、様々な形状の休憩施設をデザインした。
全て木加工による素朴な構造で、地域の住民がその建設作業に積極的に参加して手作りで完成させ、その後の維持管理を行うことで新たな地域コミュニティーの形成にも寄与している。
形態は様々で、建築ともモニュメントとも彫刻とも言えるような不思議な造形物がその風景の中で存在感を発揮している。
まさに、地域の中に新たな景観を創り出し地域コミュニティーを活性化させるというAACAの理念にふさわしい作品であり、単体の建築や造形物が対象ではなく88ケ所のネットワークづくりと地域の人々の積極的な参加によるコミュニティーづくりが特別賞として高く評価された。
現在88ケ所の内、55ケ所が15年の年月をかけて完成している、残り33ケ所が多くの人々の共感を得て早く完成することを祈りたい。