一般社団法人 日本建築美術工芸協会

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AACA賞
AACA賞2018 優秀賞越後妻有文化ホール・十日町中央公民館(段十ろう)
AACA賞2018 優秀賞
越後妻有文化ホール・十日町中央公民館(段十ろう)

作 者:株式会社 梓設計 永池雅人 鈴木教久 加藤洋平

所在地:新潟県十日町市本町一丁目上508-2

写真撮影 木田英治
写真撮影 木田英治
写真撮影 木田英治
選評
 新潟県十日町は近年非常に多くの人々が訪れ、メジャーなアートイベントとして知られる大地の芸術祭の里、妻有トリエンナーレの中心地である。その中心市街地の南にこの計画は位置づけられ、従来の北側に位置する越後妻有里山現代美術館と市民交流センター等に結びづけられて中心市街地の活性化を期待される施設である。
 計画地は。3.5mの高低さがあり、その差を活かして全体の建築のヴォリュ-ムを低く押さえることに成功している。施設の特徴は、約700席のホールとエントランスから直結する「だんだんテラス」と名付けられた多目的スペース、そして建築全面の顔となる雁木ギャラリーからなる。
 全館を通して使用する素材を抑制し本実型枠使用のコンクリート打放し仕上げと、木質仕上
げを多用して 精緻なディテールと共に落ち着きのある空間を実現している。特に「だんだんテラス」は可動壁面によって多様な空間に変容して、市民活動の多様性に対応すると共に公民館利用が共用されるリハーサル室、練習室等の中心施設となっている。
 多雪地域に対応した屋根形状はホールのフライ等も一体に包み込んだ傾斜屋根として、低層部の屋根に落雪スペースを設けて処理し、この大屋根が、周辺の町並みの中に違和感なく溶け込んでいる。最大の特徴である全面100mの長さに及ぶ雁木ギャラリーは、地産の杉材の天井ルーバーとプレキャストコンクリートの列柱からなり、美しい外見を構成している。
 木製天井ルーバーの中に仕込まれたLEDライティングは照明デザイナーとのコラボレーションで、光のインスタレーションを創作し様々な光と色彩の変化を楽しめる。
 前面の広大な駐車スペースは、そのインスタレーションの観賞スペースとなり、冬の雪景色の中で見られる幻想的な風景が想像される。その他、アプローチのモニュメントや館内のサイン、ホールの緞帳等に、アーティストと協力し文化施設にふさわしい空間作りに成功している。
 いづれ妻有トリエンナーレの中心基地として諸外国を含め多くの人々が訪れることが期待され、AACA優秀賞にふさわしい作品である。
選考委員 岡本 賢