AACA賞2023 優秀賞|CORNES HOUSE
AACA賞2023 優秀賞
CORNES HOUSE
「積層」から「彫刻」へ
―アフターコロナの都心のオフィスを再考する―
アフターコロナにおいて、経済活動を担うオフィスの在り方が問われている。
空調、照明、エレベーターという設備的な発明により、オフィスは外部環境と関わりなく拡大、積層することが可能になったが、それにより、内外の関係性が希薄になることも多かった。
一方で、アフターコロナの現在、リモートワークとの併用も可能になり、リアルな場の価値がこれまで以上に問われている。
その場でしか体験できない価値。
周囲の環境を丁寧に読み解き、「身体的・物質的」に応答するオフィス。内外の関係を立体的に構築し、場所ごとに異なる魅力を持つ。「積層」から「彫刻」へ。
場所ごと特性は、アクティビティを誘発し、ユーザーが工夫をしながら使いこなすことができる。
ユニバーサルスペースとは異なる不均質なフレキシビリティは、人と場所の能動的な関係を生み出す。
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北側外観:周辺環境の魅力を場所ごとに取り込めるように立体的に積層したボリューム
写真撮影 井上登
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低層階テラス:首都高速道路と同じレベルにショールームの展示スペースを計画
写真撮影 Nacasa&Partners
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オフィス内観:重なり合う軸をインテリアに引き込むことで、外部を感じることのできるオフィス空間
写真撮影 井上登
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室内を観てみると、常に順光で見る外部の緑を感じることができるとても気持ちの良いオフィス空間である。床から天井までのガラスカーテンウォール面に木製のカウンター席を設置し外部を感じながら、様々なワークスタイルにも対応できるようになっている。また、その木製カウンターがさりげなくカーテンウォールの荷重を支えている。この場所で働くワーカーやゲストにストレスを感じさせない伸びやかな空間である。この空間を創り出しているさりげないディテールも緻密によく考えられている。階段室の黒色に塗装された厚手の鋼板で作られたとてもシンプルな手すり壁が、一枚の繋がった板のように見え上下階をつないでいる。この階段室にもカーテンウォールから燦燦と光が入り込み、この手すり壁をあたかも彫刻のようにも見せている。内外共にとても気持ちの良い空間が創られている。優秀賞に相応しい作品である。