AACA賞2013 芦原義信賞(新人賞)奨励賞|秘密のくり園
AACA賞2013 芦原義信賞(新人賞)奨励賞
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そんな広々とした公園の駐車場の隣下に、これまたユニークな錆びた鉄板の施設が現れた。この公園のための公衆トイレである。2010年に同市で開かれたJIA全国大会に合わせて、40歳以下の若手建築家を対象に、実施を前提とした設計競技が北九州市の全面的な協力を得て行われた。その中で選ばれた作品である。
コルテン鋼を主材料にして、普通のトイレの中を外に、外を中にひっくり返すという逆転の発想で新しい空間が出来上がった。一見オブジェのようでもあり、近づく人の興味をそそる。そしてそれがトイレであることを知った人に、さらに興味を感じさせる。「中」に入れられた本来の外部には複数の栗の木が植えられている。規則に適合しないためまだ実現はされていないが、エコロジカルサニテーション、すなわち排泄された人の尿がそのまま肥料として栗の木に与えられ、実を作り、それがまた食物になるという考え方が提案され、いつでも使用可能な状態になっているという。
コルテン鋼の耐久性などにまだ技術的な問題は残されているが、のびやかで自由なこの明るい公園にはふさわしい楽しい作品である。