AACA賞2020 奨励賞|松山大学 文京キャンパス myu terrace
AACA賞2020 奨励賞
松山大学 文京キャンパス myu terrace所在地:愛媛県松山市文京町4番2、10、
写真撮影 伊藤彰 アイフォト Akira Ito aifoto-1
写真撮影 伊藤彰 アイフォト Akira Ito aifoto-1
写真撮影 伊藤彰 アイフォト Akira Ito aifoto-1
選評
間もなく創立100周年を迎える伝統ある大学キャンパスには、創立時からそのままの状態で保存されている原風景としての中庭が存在している。その中庭に隣接する校舎が耐震上の問題から解体される事になりその跡地に中庭を生かした学生の交流施設を計画する事となりこのプロジェクトが始まった。当初は室内スペースを計画する案もあった様だが、中庭と連続するオープンな施設が松山の温暖な気候ともマッチしてキャンパスの中心施設にふさわしい計画となった。コストセーブの観点から既存校舎の地下躯体を解体しないで残存する事となり、その地下壁面を基礎として利用して構造を構築するに当たって単柱状のものよりも長方形の構造体が有効であろうという発想からユニークな長方形口の字形の鉄骨フレームを耐震性を考慮して向きを変えて林立させる計画が生まれた。ランダムに配列されたリング状の鉄骨フレームの上部に軽やかな屋根を架け先端を極力薄くシャープに見せる事によって、風が吹き抜け背後の中庭とつらなって透明感のあるスペースを創り出している。2階のデッキからはるかに松山城を望見され日差しの降りそそぐ居心地の良い場が出来ている。
この建築の最大の特徴は長方形型リング状のフレームの林立である。リング状の構造体は床スラブアンカーを簡素化して、屋根材との間にも間隙を見せる様にして全体が浮いた様に見せる工夫をした結果長方型リングがゆらゆらと揺れている様な情景となり、シュールな感覚を感じさせる新しい空間イメージを創造している。点在する椅子、テーブル、ベンチもスチールの折り曲げ加工と人工木を組み合わせた同じコンセプトで統一されていて好感が持てる。2階テラスの手摺形状が視点によって閉鎖的となる事にはもう一段の工夫が必要だったかも知れない。オープンテラスにした結果が現在の新型コロナウィルス対策にもはからずも有効となった事も設計者にとってはラッキーな事だろう。
選考委員 岡本 賢
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