一般社団法人 日本建築美術工芸協会

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AACA賞
AACA賞2021 奨励賞早稲田大学 本庄高等学院体育館
AACA賞2021 奨励賞
早稲田大学 本庄高等学院体育館

作 者:飯島敦義(株式会社 日建設計)

所在地:埼玉県本庄市栗崎

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写真撮影 Harunori Noda (Gankohsha)
写真撮影 Daici Ano
選評
小高い山の森に囲まれた本庄キャンパスにある高等学校の体育館である。
森を抜け教室校舎の背後に、小雨に濡れたコンクリートの塊が現れ一瞬驚く。
48m x 43m x 16mの立方体が、2m x 2m程のキャンティーで4周に軒を作るように一回り小さい同じコンクリートの台座に乗っている。大きなコンクリートの矩形のコーナー部は、丸く削り取られ、打ち放し面の中層レベルに大小の丸い穴がいくつも穿たれて、何やら微笑ましいい可愛らしい外観を呈している。さらに、森に生息するオオタカの繁殖時期を避けて、冬時期を待ち打設したという大きなコンクリート面は、ひび割れもなく打ち継ぎ目地のないコンクリート面を形成して優しい印象だ。
講堂としても使われるアリーナ内部に入っても、全てがコンクリートのグレートーンでありながら、人肌が触れる低層壁面と天井には吸音材などが用いられ表情がある。上部壁には無数の大小の丸孔がランダムに開けられているために、大空間にボールが飛び交い、喜びが弾けるような躍動感や、高揚感を誘ってくれて実に楽しい。この大きな気積の周囲は、構造的に大空間を支える回廊となっており、外壁と内壁とに穿たれた丸窓からの光が、直射を避けるよう制御されて体育館内部に自然光の明るさがもたらされる。この回廊空間は、自然換気や光の調節,調音対策など自然循環の力と機械設備を内包する同時実現のスペースでありながら、中層部を1周170 mのランニングコースとしていて、綿密に計画されて穿たれた孔は光を誘い視線を誘導する。外観からは想像できない解放感があることに大変感心させられる。
非常に明快なメッセージがあり、綿密な計画と緻密な設計、高度な施工によって、強靭で頼れる力強い建築の姿が立ち上がった。建築と一体化した下足棚やサイン、壁肌の細やかなコンクリート仕上げなど、心身ともに成長する多感な時期に、このような建築空間を日常的に実体験できることは素晴らしい。人の感性に響く『建築の力』を実感できるいい建築である。
選考委員 藤江和子